宙SORAのブログ
【保存版】風水で考える、マンションの選び方|自分の目で良い立地を見抜く方法
あなたの知っている風水は、2割にすぎない

終の棲家に、マンションをどう選ぶか。風水の視点から、その選び方をお伝えします。——前編の最後に、私は一つ、宿題を残しました。(前編はこちら 人口減少時代の、終の棲家の選び方〜中心へ、狭く。あなたの住まいの、これからの正解〜)
不動産のプロが「良い物件」と呼ぶ条件。眺望、日当たり、風通し、駅からの近さ。それが、風水師の見る「良い土地」と、なぜこれほど一致するのか。
別々の立場の二人が、別々の言葉を使いながら、同じ土地を指さしている。あれは、偶然ではありません。
その答えを、ここからお話しします。
ただ、その前に。一つだけ、思い込みを外していただく必要があります。
風水とは、そもそも何を見る技術なのか
風水とは、土地と環境に流れる気を読み、住む人の運命を、先回りして整える技術です。
——あれ、と思われたかもしれません。
方位は。ラッキーカラーは。玄関に置く水晶は。そういったものを思い浮かべて、この記事を開かれた方も多いはずです。
正直に申し上げます。
それらは、風水のうちの、2割にすぎません。
南に赤いものを。玄関に鏡を。この方位は吉、あの方位は凶。——日本で「風水」として広まっているものの多くは、専門的には「理気(りき)」と呼ばれる領域です。方位と時間の吉凶を、計算する技術。確かに、風水の一部ではあります。
けれど、本体ではないのです。
古来、風水師が命がけで見極めてきたのは、残りの8割。「巒頭(らんとう)」と呼ばれる、土地そのものと、それを取り巻く環境です。
なぜ、土地が8割なのか
理気は、後から変えられるからです。
方位の凶は、家具の配置で和らげられる。色は、足せばいい。置物も、変えられる。家の「中」のことは、住んでからでも、ある程度は手当てができます。
けれど、巒頭は——土地と、その周りの環境は、住んでからは、一つも変えられません。
背後の山を、動かせますか。隣のビルの角を、削れますか。目の前を走る高架を、消せますか。
できません。
直せないものだからこそ、買う前に、見極める。風水の8割が「土地」に置かれているのは、そのためです。
そしてこれは、前編で私がずっと申し上げてきたことと、まったく同じ構造をしています。
晩年では、遅い。まだ動ける今こそ、見直せる。——後から直せないものを、動けるうちに、先回りして避ける。風水の本質は、終の棲家の選び方、そのものなのです。
では、なぜ不動産のプロと風水師は、一致するのか
ここで、冒頭の宿題に戻ります。
不動産のプロが見る「眺望・日当たり・風通し・立地」。それは、風水師が読む巒頭——土地に流れる気の条件を、別の言葉で呼んだものだからです。
不動産のプロは、経験と市場から知っている。「この条件の土地は、価値が下がりにくい」と。風水師は、数千年の蓄積から知っている。「この条件の土地は、気が良い」と。
入り口は違っても、見ているものは同じ。地形、日照、風、水の流れ。だから、結論が重なる。偶然ではなく、必然です。
そして、ここからが大切なところです。
二人の見立ては、「良い土地」だけでなく、「悪い土地」でも一致します。不動産のプロが「これはやめたほうがいい」と渋る物件は、風水師の目にも、たいてい凶と映る。
けれど——一つだけ、ズレが生まれます。それも、決まった一方向に。
不動産的には優良なのに、風水的には危うい。そういう物件が、存在するのです。逆は、ほとんどありません。不動産のプロがダメと言う物件を、風水師が良しとすることは、まず無い。
つまり風水とは、その目が通した物件に、もう一枚、同じ方向のふるいをかけるもの。プロでさえ見抜けない危険を、最後にもう一度すくい上げる、細かな網なのです。
この後編で、お伝えすること
その「見落とされる危険」の正体を、ここから明かしていきます。
巒頭の読み方を、終の棲家を「買う」という一点に絞って。とりわけ——買ってからでは、もう直せない。だからこそ、買う前に避けるべき環境を。
前編で、こう書きました。眺望や日当たり、風通しには、深い理由がある、と。その理由も、ここで回収します。
では、始めましょう。
良い土地とは、四方に守られた土地である

では、風水師は「良い土地」を、どう見極めるのか。
その答えは、とてもはっきりしています。
良い土地とは、四方を、ちょうどよく守られた土地です。
背後に、寄りかかれる支えがある。左右から、囲い込まれている。前方には、開けた広がりがある。——この「守られている」という状態を、風水は何より重んじます。
この四方の守りを、昔の人は四つの聖獣の名で呼びました。玄武、青龍、白虎、朱雀。あわせて「四神(しじん)」と言います。
背後の守り――玄武が、いちばん大切

四神の中で、私がもっとも重く見るのが、背後の守り。「玄武(げんぶ)」です。
玄武とは、家の後ろに控える、高い支えのこと。本来は山でした。今の街なら、背後に建つ、どっしりとした建物がその役を果たします。
なぜ、背後がいちばん大切なのか。
人は、後ろを自分では見られないからです。
背後ががら空きの土地に住むと、どうなるか。後ろ盾のない状態が、続きます。気が、背中から抜けていく。仕事でも、人間関係でも、肝心なところで支えを失い、足をすくわれやすくなる。——私はこれを、何度も見てきました。
椅子に座るとき、背もたれのある椅子と、ない椅子。どちらが落ち着くでしょうか。土地も、同じです。背後に支えのある家は、住む人を、静かに守り続けます。
左右と前方――青龍・白虎・朱雀
背後が玄武なら、左右を固めるのが、青龍(せいりゅう)と白虎(びゃっこ)です。
家から見て左が青龍、右が白虎。左右にほどよい高さの建物があり、両側から家を抱くように囲む。これが、横からの守りになります。マンションなら、棟の端の部屋より、両隣に部屋がある中ほどのほうが、この左右の守りを得やすい。
そして前方が、朱雀(すざく)です。
ここだけは、少し意味合いが違います。前方は、塞ぐのではなく、開いているのが良い。
家の正面に、朱雀が羽ばたけるような、ひらけた空間がある。先の見通しが利く。遠くまで——言うなれば、自分の未来まで、見通せる。これが、朱雀の第一の条件です。
けれど、ただ開けていればいい、というものではありません。
その開けの先に、ほどよい高さの山や建物が要ります。これを「案山(あんざん)」と呼びます。視界の果てで、気をやわらかく受け止める、遠い衝立のようなもの。
なぜ、これが要るのか。
前方がどこまでも開けっぱなしだと、せっかく集まった気が、留まらずに抜けていってしまうからです。見晴らしは良くても、気が素通りしてしまう。
開けていて、なお、抜けない。その均衡が、朱雀の整った形なのです。
背後は、固く。前方は、開きながらも、受け止める。——四方の守りが揃って、はじめて土地は「守られている」と言えるのです。
その内側に生まれるものが、明堂

四神に囲まれた、その内側。そこに生まれる開けた空間を、「明堂(めいどう)」と呼びます。
明堂とは、気が集まり、溜まる場所です。
龍脈——大地を流れてきた気は、四神に囲い込まれた、この明堂に溜まります。器がなければ、水が溜まらないのと同じ。四方の守りがあって、はじめて、気はそこに留まることができる。
家の正面に、ひらけた前庭がある。駅前の広場がある。公園が、視界を受け止めている。——そういう「前方の開け」が、現代の明堂です。
前編で、こうお伝えしました。眺望や日当たり、風通しには、深い理由がある、と。
これが、その理由です。
眺望が良いとは、前方が開けていること。すなわち、朱雀と明堂が整っているということ。日当たりと風通しが良いとは、気と光が、家の周りをよどみなくめぐっているということ。不動産のプロが「良い」と感じるその条件は、風水が数千年かけて見出した、気の溜まる土地の形と、そっくり同じものだったのです。
龍は、駅と道路を流れている

もう一つ、前編で残した伏線を、ここで回収します。
前編で、クマの話をしました。クマが出るのは、都会か田舎かではなく、山が迫り、川が通る「地形」の問題だ、と。
風水が読むのも、まさにこの地形です。
大地を流れる気の道筋を、風水では「龍脈(りゅうみゃく)」と呼びます。気は、山の尾根を伝い、川の流れに沿って運ばれる。山が龍の背、川が気を運ぶ水。だから良い土地を探すことを、昔は「龍を探す」と言いました。
では、山も川も見えない、都会の真ん中では、龍をどう読むのか。
駅と、道路です。
人が流れ、物が流れ、賑わいが集まる。現代の都市では、駅や大通りが、かつての山や川の役割を担っています。気は、人の流れる場所に集まる。だから、栄えている駅の周り、人の行き交う通り沿いは、龍脈の通った土地なのです。
前編の12項目で「特急の停まる駅」「人気のエリア」を挙げたのは、このためでもありました。人の気が集まる場所は、龍の通った土地だから、資産価値が落ちにくい。不動産の理屈と、風水の理屈が、ここでも一つに重なります。
守りが崩れたとき、土地は「殺気」を帯びる
ここまでが、良い土地の形です。四神に守られ、明堂に気が溜まり、龍脈の通った土地。
では、この守りが崩れると、どうなるか。
四神の守りを失った土地。気が溜まらず、抜けていく土地。そして——外から、鋭いものが突き刺さってくる土地。
そうした土地が帯びる、住む人を害する気を、風水では「殺気(さっき)」、その形を「殺(さつ)」と呼びます。
買ってからでは、もう直せない。だからこそ、買う前に見抜くべきもの。
次の章から、その「避けるべき殺」を、一つずつ、具体的に見ていきます。内見のとき、地図を開いたとき、あなた自身の目で確かめられるものに、絞ってお伝えします。
買う前に避けるべき「殺」――外からは、もう直せない

ここからが、本題です。
前の章で、こうお伝えしました。土地の守りが崩れると、住む人を害する気が生まれる。それを「殺(さつ)」と呼ぶ、と。
殺には、たくさんの種類があります。けれど、この記事で扱うのは、その全部ではありません。
たった一つの条件で、絞り込みます。
「買ってからでは、もう直せないもの」。
家の中の問題なら、お金で直せます。間取りが悪ければ、リフォームできる。水回りの位置も、壁の配置も、住んでから手を入れられる。
けれど、外から来る殺は、違います。
隣のビルの角。突き刺さる道路。背後の崖。目の前の高架。——これらは、あなたの家を、どういじっても消せません。引っ越す以外に、逃れる道がない。
だからこそ、買う「前」に見抜く。それだけが、唯一の防御なのです。
そして、ここが大切なのですが。
「風水的に完璧な間取りを設計したのに、住んでから健康を崩した」「キャリアが傾いた」「家庭がうまくいかなくなった」——そういう話を、私は何度も聞いてきました。
理由は、たいてい同じです。家の「中」しか見ていなかった。外から、殺が刺さっていた。
もし今、原因のわからない不調が続いているなら。一度、家の「外」を見回してみてください。
では、避けるべき殺を、三つの系統に分けて、見ていきます。
系統① 守りが崩れた土地――四神の欠落
最初は、前の章で見た「四神の守り」が崩れた土地です。
守りは、足りなくてもいけない。けれど――囲まれすぎても、いけません。
露風殺――守りが、なさすぎる

露風殺(ろふうさつ)とは、四神の守りを持たない、むき出しの土地のことです。
背後に玄武がない。左右に青龍・白虎がない。前方の案山もない。四方をぐるりと、何にも守られていない。風が、四方から吹きさらしになる。だから「露風」と言います。
とりわけ怖いのが、玄武の欠落――背後の守りがない状態です。
前の章でお伝えしたとおり、背後は、いちばん大切な守りでした。それを失うと、後ろ盾のない人生になります。気が、背中から抜けていく。
そして、もう一つ。前方の朱雀が欠けた場合も、露風殺です。
前の章でお伝えした、前方の朱雀。開けていることは大切でも、ただ開けっぱなしでは、気は留まらず、素通りしてしまいます。見晴らしの良さが、そのまま「気の抜けやすさ」にもなる。
ここで、注意していただきたいことがあります。
タワーマンションの、高層階。
眺望は、最高でしょう。どこまでも視界が抜けて、気持ちがいい。——けれど、風水の目で見ると、これはしばしば露風殺です。
高すぎて、背後に玄武がない。横にも、守る建物がない。前方は開けすぎて、受け止める案山もない。四方すべてが、抜けている。
「眺望が良い」と「気が抜ける」は、紙一重なのです。見晴らしの良さに惹かれて選んだ部屋が、実は何にも守られていない――これは、終の棲家として、よく考えるべき点です。
——もっとも、高層階がすべて凶、というわけではありません。両隣の住戸を青龍・白虎と見立てたり、大規模なマンションなら向かいの棟を玄武と読んだりと、条件しだいで守りを得られることもあります。ただ、これは少し専門的な見立てになるので、ここでは割愛します。
お伝えしたいのは、「眺望が良い=無条件に良い物件」ではない、ということです。開けた眺めの裏に、抜けやすさが潜んでいる。その視点だけは、持っておいてください。
四害殺――四方から、囲い込まれる

四害殺(しがいさつ)とは、露風殺のちょうど逆。四方を、自分より高い建物にぐるりと囲まれ、取り囲まれた土地のことです。
露風殺が「守りが、なさすぎる」なら、四害殺は「囲まれて、気がふさがれる」。守りが、囲い込みに変わってしまった状態です。両極端が、どちらも凶になります。
周りじゅうを、自分より高い建物に見下ろされる。逃げ場がなく、押さえつけられる。——人で言えば、四方を囲まれた、いじめられっ子のようなものです。気が、ふさがれて、伸びていけません。
四方を高いものに囲まれると、何が起きるか。
日が、入りません。
光が届かず、風も通らない。家は一日じゅう、薄暗い日陰になります。湿気がこもり、気が淀む。そして、四方から見下ろされる圧迫感が、住む人の気持ちを、少しずつ削っていきます。
日の当たらない家に住むと、日の当たらない人生になる。——昔の人は、そう戒めました。
都心では、これが起きやすい。とくに、まわりを高い建物に囲まれた低層の物件や、旗竿地(はたざおち)と呼ばれる、奥まった土地。安く手に入ることもありますが、なぜ安いのか、一度立ち止まって考えてみてください。
内見は、必ず昼間に。そして、その部屋に、日がどう差すかを、自分の目で確かめてください。
系統② 突き刺さってくる土地――形殺
二つめの系統は、外から、鋭いものが突き刺さってくる土地です。
道路の形、建物の角、ビルの隙間。そうした「形」が、刃物のように家に向かってくる。これを「形殺(けいさつ)」と呼びます。
形殺の良いところは――内見と地図で、あなた自身で確かめられることです。専門知識は、ほとんど要りません。
まずは、足元の「道路」から見ていきます。
路冲殺(木箭)/丁字路口――道路が、まっすぐ突き刺さる

路冲殺(ろちゅうさつ)とは、道路が、家に向かってまっすぐ突き進んでくる形のことです。箭(や)のように道が刺さってくることから、「木箭(もくせん)」とも言います。
まっすぐな道は、気の勢いを、そのまま家にぶつけてきます。車のライトが、夜ごと正面から差し込む。気が、減速せずに突っ込んでくる。
現れ方は、二つあります。一つは、まっすぐな道路の延長線上に、家がある場合。もう一つは、T字路の突き当たり——いわゆる丁字路口(ていじろこう)です。どちらも、道が運んできた勢いを、家がまともに受け止める位置にある、という点では同じです。
地図を開けば、すぐにわかります。家に向かって、まっすぐ伸びてくる道がないか。とくにT字路の突き当たりは、内見の前に、地図だけで弾けます。
剪刀殺――Y字路に、挟まれる

剪刀殺(せんとうさつ)とは、Y字路の股のところ、二本の道に挟まれた三角の土地のことです。
剪刀とは、ハサミのこと。二股に分かれた道が、開いたハサミの刃に見える。その刃の間に挟まれた家は、絶えず両側から、切り裂かれるような力にさらされます。
先ほどのT字の突き当たりが、一本の道に突かれる形なら、こちらは二本の道に挟まれる形。三角形の土地そのものが、風水では落ち着かない形とされますが、Y字の股に位置すると、その不安定さに、二本の道の勢いが加わります。
反弓殺・鎌刀殺――カーブの、外側

反弓殺(はんきゅうさつ)とは、カーブの外側に位置する土地のことです。
道路でも、川でも、線路でも、高速道路でも。曲がっていく道や流れの、外側。弓を引き絞ったときの、外に張り出す側です。
なぜ、外側がいけないのか。
カーブを曲がる流れは、外へ、外へと膨らもうとします。車も、水も、気も、遠心力で外側に押し出される。その力を、外側の家が、まともに受け続けるのです。
これは、迷信ではありません。道路なら、カーブの外側は、車が突っ込む事故の起きやすい場所です。そして川なら――もっと、はっきりしています。
川が曲がる、その外側。大雨や台風で増水したとき、水の勢いが、最も強く当たり続けるのが、この外側です。堤防が決壊しやすいのも、削られていくのも、決まって外側。終の棲家にとって、これは運気の前に、命と財産にかかわる問題です。
前編で、ハザードマップの確認をお願いしました。川のカーブの外側に建つ家は、風水で凶であると同時に、水害のリスクそのものなのです。古い人の戒めと、現代の防災が、ここでも一致します。
とりわけ、高架や高速道路のカーブの外側を、鎌刀殺(れんとうさつ)と呼んで、強く忌みます。大きな鎌の刃で、横ざまに薙ぎ払われるような形だからです。
終の棲家を駅の近くで探すなら、線路のカーブにも目を向けてください。地図上で、家の前の道・川・線路が、ゆるく弧を描いていないか。弧の、内側か、外側か。それだけでも、確かめる価値があります。
道路を見たら、次は、まわりの「建物」です。
尖角殺・隔角殺――尖った角が、突きつけられる

尖角殺(せんかくさつ)とは、隣の建物の鋭い角が、刃物の切っ先のように、自分の家へ向かって突き出している形です。
その一種で、とくによく見られるのが、隔角殺(かくかくさつ)。隣の建物の角が、道や隙間を隔てて、こちらの窓や玄関を突いてくる形です。
これは、都心で本当に多い。ビルやマンションが密に建ち並ぶ街では、どこかの角が、必ずどこかを向いています。だからこそ、内見のときに、自分の家の窓や玄関へ向かって突き出している角がないか、注意して見てください。頻度が高いぶん、見落とされやすい殺です。
壁刀殺・平台殺・天斬殺――横から、切られる
ここからは、隣の建物が「面」で迫ってくる形殺です。三つとも、横から切りつけられるような殺で、同じ系統です。

壁刀殺(へきとうさつ)とは、隣の建物の壁の面が、刀の刃のように、自分の家の側面へ向かってくる形です。ビルの平らな側面が、まっすぐこちらを向いている。

平台殺(へいだいさつ)とは、隣接する建物の屋上のラインが、ちょうど自分の家の目線の高さに来ている形です。平らな屋上の縁が、横一文字に、視界を切る。玄関の正面とは限りません。窓から見たとき、隣の建物の屋上の端が、すっと目の高さを横切っていないか。

天斬殺(てんざんさつ)とは、二棟の高いビルのあいだの細い隙間が、自分の家の正面に来ている形です。天から刀で斬り下ろしたような、その鋭い隙間を抜けてくる風が、家を直撃します。ビルが高く、隙間が細いほど、強くなります。
いずれも、横から、あるいは隙間から、家を切りつけてくる。内見のとき、ベランダや窓から、隣の建物の壁・屋上のライン・ビルの隙間が、こちらをどう向いているかを、確かめてください。
頂心殺――玄関の正面が、ふさがれる

頂心殺(ちょうしんさつ)とは、玄関の真正面に、電柱・標識・大きな木などが、突き立っている形です。
気の入り口を、ふさいでしまう。玄関を出て、まっすぐ前を見たとき、視界をさえぎるものが、すぐ目の前にないか。これも、内見ですぐに確かめられます。
系統③ 目には見えないが、確かに在るもの――実在の気
三つめの系統に入ります。
ここが、いちばん見落とされます。そして、私がいちばん、注意してほしいところです。
これまで見てきた①の守りの崩れ、②の突き刺さる形は、目で見えました。地図で、窓の外で、確かめられた。
けれど、これから話すものは、目に見えません。
音。光。淀んだ気。電磁波。——形を持たないから、内見のときに見落とす。けれど、確かにそこに在って、住む人を、毎日、害し続けます。
ここで、一つ、大切なことをお伝えします。
「目に見えない」と聞くと、方位やラッキーカラーのような、理気の話だと思われるかもしれません。違います。
音も、光も、淀んだ気も、電磁波も——目には見えなくても、その土地に、物理的に、実在しています。電車の音は、そこで鳴っている。隣のビルの反射光は、そこに差している。墓地の気は、そこに在る。
実在するものは、すべて巒頭です。方位の計算ではありません。だからこそ、住んでからは、消せない。
この系統こそ、風水の本体である巒頭の、いちばん奥にあるものです。
音殺――駅近・大通りの、裏側

音殺(おんさつ/騒音殺)とは、絶え間ない騒音が、家の気を乱し続ける状態のことです。
電車の通過音。幹線道路を走る車の音。高架を行き交う響き。——昼も夜も止まない音は、住む人の神経を、静かにすり減らしていきます。
ここで、前編とのつながりに、気づいていただきたいのです。
前編で私は、駅に近い物件を勧めました。特急の停まる駅。徒歩5分。資産価値も落ちにくい、と。利便性を考えれば、駅近は正解です。
けれど――駅に近いほど、線路の音は大きくなります。利便性のために幹線道路沿いを選べば、車の音がついてくる。
良い立地が、音殺を呼ぶ。ここに、終の棲家選びの、難しさがあります。
では、どうするか。私の答えは、こうです。
大通りから、一本だけ内側に入る。
幹線道路や線路の、すぐ沿いではなく。そこから一本、内側の通り。利便性はほとんど変わらないのに、音は、ぐっと静かになります。
ただし――入りすぎても、いけません。
奥まった、人通りの絶えた路地裏。静かではありますが、今度は気が淀みます。人の流れ=龍脈から、外れてしまう。
大通りが、動脈。路地裏が、毛細血管。動脈のすぐ上はうるさく、毛細血管の奥は気が滞る。その中間――動脈から一本入った、人の気配は残る静かな通り。そこが、いちばん良いのです。
利便性と、静けさ。その両方が得られる場所は、確かにあります。一本、内側を、探してみてください。
光殺――眺望と、夜景の、裏側

光殺(こうさつ)とは、強い光が、家に差し込み続ける状態のことです。
向かいのガラス張りのビルが、跳ね返す西日。商業ビルの、夜どおし灯るネオン。看板の、点滅する明かり。——望まない光が、家の中に入り続けると、気が乱れ、眠りが浅くなり、落ち着きを失います。
これも、前編の伏線につながります。
前編で「眺望が良い」ことを、良い条件として挙げました。けれど、開けた眺望は、裏を返せば、外からの光を、さえぎるものがないということです。
昼は、向かいのビルの照り返し。夜は、街の明かりやネオン。眺めが良いということは、その光も、まっすぐ入ってくるということ。
内見は、昼間だけでは足りません。できれば、夜にも、一度。窓の外に、眠りを妨げるほどの光がないか。確かめる価値があります。
陰殺――墓地・病院・廃墟の、気

陰殺(いんさつ)とは、陰の気を放つ場所が近くにあり、その気を、毎日、浴び続ける状態のことです。
墓地。病院。葬儀場。ゴミ処理場。そして、朽ちかけた廃墟や、空き家。——これらは、形が刺さってくるわけではありません。けれど、その場所の持つ「意味」が、重く沈んだ気を、絶えず放っています。
ここで、はっきりさせておきたいことがあります。
「墓地が近いと、方位が悪い」と考える方がいます。違います。これは、方位の問題――理気ではありません。
墓地や病院は、そこに、現に在ります。目に見える、実在する場所です。だから、これは巒頭――土地と環境の問題なのです。その場所が放つ陰の気を、毎日、見て、浴びて暮らす。それが、住む人の気を、少しずつ沈ませていく。
廃墟や空き家も、同じです。朽ちていくものを、毎日、目にする。荒れた気を、日々、受け取る。前編でお話しした、人の減る土地で増えていく空き家。それが目の前にあるなら、陰殺になります。
それから、もう一つ。これは少し意外に思われるかもしれません。
「もめ事」も、陰の気を放ちます。
たとえば、一等地なのに、なぜか長く空いている土地。相続でもめている、所有者の間で争いがある――そういう土地は、人の負の感情が、その場に澱みます。理由のわからない「売れ残り」には、わけがあることがあるのです。
電磁波殺――高圧線は、「動線」で見る

電磁波殺(でんじはさつ)とは、強い電磁波を放つものが近くにあり、その影響を受け続ける状態のことです。
なかでも、高圧線(送電線)。
これは、私自身が、専門の測定器を使って、繰り返し確かめてきたことです。私はかつて電磁波測定士の資格を取り、測定器を手に、さまざまな場所を実際に測ってきました。
高圧線の発する電磁波は、ふつうの電柱とは、桁が違います。
そして、ここからが、ほかではあまり言われないことです。
高圧線の影響は、「自宅の近くにあるかどうか」だけでは、測れません。
見るべきは、毎日の「動線」です。
家の近くになくても、毎日通る道――駅までの行き帰り、買い物の道、散歩のコース――その動線の上に、高圧線があるなら。あなたは毎日、その下を、くぐり続けることになります。点ではなく、線で考えてください。
物件を選ぶときは、家の周りだけでなく、「駅までの道のり」に何があるかを、一度、歩いて確かめてみてください。
街の「格」――商業施設は、その街を映す鏡
最後に、殺とは少し違いますが、ぜひお伝えしておきたい視点があります。
その街に、どんな人が住んでいるか。それを読む、一つの手がかりです。
風水では、気の質は、そこに集まる人が作る、と考えます。良い気の集まる土地には、自然と、落ち着いた人が集まる。だから、その土地に「どんな人が暮らしているか」は、気の質を読む、確かな手がかりになります。
では、それを、どう見るか。
街の、商業施設を見てください。
スーパーマーケットの、価格帯。扱っている商品の質。品揃え。並んでいる店の種類。——それらは、その街に暮らす人々の層を、静かに映し出しています。
これは、不動産のプロも、同じことをしています。周辺の店を見れば、その地域の暮らしの水準が、おおよそわかる。風水の「気の質」と、不動産の「街の格」は、ここでも一致します。
候補の物件が見つかったら、その街を、一度、歩いてみてください。どんな店が並び、どんな人が行き交っているか。住み始めてから気づくより、選ぶ前に、自分の足で感じておくことです。
100点の物件は、存在しない――では、どうするか

ここまで、たくさんの「殺」を見てきました。
守りの崩れた土地。突き刺さってくる形。目に見えない、淀んだ気。——その一つひとつを、地図で、内見で、自分の足で、確かめる方法をお伝えしてきました。
ここで、お伝えしておきたいことがあります。
この記事を読み終えたあなたは、もう、大きな地雷の多くを、自分で避けられます。
T字路の突き当たりを、地図で弾ける。カーブの外側を、見抜ける。日の入らない物件を、昼の内見で見送れる。墓地や高圧線を、街を歩いて確かめられる。——これは、けっして小さなことではありません。買ってからでは直せないものを、買う前に避ける。その力が、もう、あなたの手の中にあります。
けれど、100点の物件は、ほとんどない
正直に、申し上げます。
すべての殺を避けた、完璧な物件。それは、ほとんど存在しません。
とくに、人と機能の集まる中心部では、なおさらです。駅に近ければ、音がある。眺望が開ければ、光や、抜けがある。どこかが良ければ、どこかに、何かがある。それが、現実の物件です。
では、どうするか。
優先順位を、つけるのです。
この殺は、この人にとっては致命的だが、別の人には軽い。この欠点は、この土地の長所が補って余りある。——どの殺を重く見て、どの殺なら呑み込めるのか。その見極めこそが、物件選びの、本当の核心です。
そして、ここが、避け方の「先」にある世界です。
殺を避けることは、この記事でお伝えできました。普遍的なルールだからです。けれど、「あなたにとっての最良の一軒」を選ぶことは、ルールでは決まりません。あなたが何を大切にし、その土地がどんな気を持ち、二つがどう響き合うか。それは、本人と土地を、実際に見なければ、読めないのです。
結局、風水とは何だったのか

最後に、もう一度だけ。
この後編を通じて、私がお伝えしたかったことは、つきつめれば、たった一つです。
「気」には、二つある。
良い運気を運んでくる気――龍と。住む人を害する気――殺気と。
良い土地とは、龍の通った、気の集まる土地。避けるべき土地とは、殺気の差す、気の抜ける・淀む土地。風水とは、その二つを読み分け、龍を選び、殺を避ける技術です。
これだけを知っていただければ、もう十分です。あなたの土地を見る目は、この記事を読む前とは、確かに変わったはずです。
まだ動ける、今のうちに
前編から、私がずっとお伝えしてきたことが、あります。
後から直せないものは、動けるうちに、先回りして避ける。
晩年では、遅い。土地の殺は、住んでからでは消せない。だからこそ、判断する気力と体力のある「今」、見極めておく。——これは、終の棲家の選び方であると同時に、運命を先回りして読む、風水そのものの姿勢でもあります。
あなたの終の棲家が、龍の通った、良い気の集まる場所でありますように。
*
この記事が、あなたの物件選びの、確かな手がかりになれば嬉しく思います。
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風水師 宙SORA
株式会社華蓮 代表取締役/宙SORAアカデミー 主宰